先だってTwitterでは報告しましたが、ねころび荘からパルボウィルス陽性の猫がでました。
先日亡くなってしまった、サビ子猫のころもと黒子猫のライです。
ころもとライがパルボウィルス感染状態で、ねころび荘にやってきたということになります。
まずはパルボウィルスについてお話します。
パルボウィルスに感染すると、元気消失から始まり、嘔吐、下痢、それに伴い脱水症状を呈し、衰弱していきます。
骨髄でウイルスが増殖すると骨髄の細胞が壊され、白血球の減少や貧血を誘引します。猫汎白血球減少症とも呼ばれます。
感染した幼猫の致死率は8割以上とも言われ、非常に高い感染力を有していて、感染猫の排泄物や吐しゃ物、使っていたケージ、食器、被毛、使っていたおもちゃなども感染源になります。
石鹸での手洗いや一般的な消毒薬、紫外線、熱湯などにも耐性があるため非常に排除しずらいウィルスです。
猫に関わる人にとって一番遭遇したくないウィルスがこのウィルスだと思います。
幸いなことに、パルボウィルス感染はワクチンで防ぐことができます。ですが100%というわけではありません。
ねころび荘の猫たちはみんなワクチン済みで、パルボ感染らしき症状はでていません。それが不幸中の幸いでした。
特に子猫のカイルとナタクは先月末のワクチン接種だったので、これが何かの都合で遅れていたらと思うとゾッとします。
私がころもとライのお世話をしながら感じたことをメモしておきます。
まずは2匹が亡くなるまでの経過から
11日のお昼過ぎに2匹がねころび荘にやってきました。どちらももこもことしていて非常に愛くるしい顔立ちをしていました。
この子たちはどんな風に育っていくのか非常に楽しみでわくわくしていたのが初日です。この日はまだ食欲もありました。
12日もそれほど変わらず過ごしたものの、大きさの割には少し活発さが足りない気がしましたが、保護直後ということもあり、深刻に捉えることはできませんでした。
13日になり、ころもが嘔吐し始めます。体重も増えてこないということもあり、14日に動物病院へ。
14日の受診で、脱水気味だったので補液と制吐剤を入れてもらいました。胃腸炎ではないかとの診断。
15日は制吐剤の効果がでたのか、嘔吐を確認することはありませんでしたが食欲は戻らず。すでに強制給餌を始めていました。
16日になると、今度は下痢症状が出始めました。獣医さんや協力団体さんからも胃腸炎が流行っているという話を聞きましたし、私も胃腸炎だろうなと思っていました。
17日、下痢のせいもあって、ころもの脱水ひどくなったように感じ、動物病院へ。下痢止めと水分補給の点滴をしてもらいました。
18日未明に、治療の甲斐なく、ころもは亡くなってしまいました。
ライは18日まで相変わらず活発さは発揮せず、性格なのかなと考えていました。ですが、ライも体重が減少しないものの、増えていない上に下痢がはじまったので朝から病院へ向かい、処置してもらいました。前述の病院とは違うところに行き、ころものことも話し、処置として整腸剤と抗生剤を補液に混ぜて注射してもらいました。脱水も進行しているので次の日も点滴に来るように指示を受け、帰宅しました。この時も胃腸炎でしょうとの診断。
18日の夜から嘔吐が始まり、19日の朝から病院へ。補液と制吐剤を注射してもらいました。この頃にはライもすでに強制給餌をしていました。
20日になると少し元気を取り戻したようで、ちょこちょこと動き回り、体重も増え始めて少しホッとしましたし、非常に嬉しく、ライだけでも何とか元気に育ってほしいと思いました。
21日も順調に過ごし、体重も微増でこのまま回復してくれるかと思いました。
22日のお昼頃から食欲不振でやや脱水が見られ、時間の都合もあり夜に病院へ。診察時間の兼ね合いで前述の2件(基本的に前述の2件がねころび荘の猫たちの主治医です)とはまた別のところへ。
そこでは補液とお尻の被れの洗浄、皮膚炎を起こしていたので抗ヒスタミン剤、胃腸の不調の原因が寄生虫の可能性もあるとのことで駆虫薬をしてもらいました。ここでもまた胃腸炎の類だろうとの判断でした。
23日の午前4時ごろからライはぐったりして、強制給餌された離乳食も飲み込めないような状況になり、また朝一番で病院へ。補液をしてもらいましたが、厳しい状況とのことで、とにかく食べさせて保温に努めてくださいと言われました。飲み込まないのにどうやって食べさせればいいのか聞きましたが、具体的な提案はなく、何とかやってもらうしかないとのこと。協力団体さんの方に相談して、ペースト状のものをさらに水に溶かして流し込む方法をとりました。誤嚥の危険がありましたが、背に腹は代えられませんでした。ライはぐったりしたまま、されるがままにしていました。
それから3時間ほど後にライもころもに続いてしまいました。
私は治ると信じて病院に連れていくけれど、ライにとっては相当の負担だったろうと思います。
それなら家でゆっくりさせてあげればよかったかなといつも考えてしまいます。
だけど、私は「治ると信じている」から病院に連れていく、それが猫にとってつらいことで、治らず命を失ってしまうことがあっても、それで命が繋がる可能性があるなら、私はきっと連れていくんだと思います。
猫たちの管理について
今回のパルボウィルスでねころび荘の管理体制の甘さを感じました。
ねころび荘で猫を預かる時は隔離期間を設けています。隔離と言っても明確な隔離部屋があるわけではなく、玄関ホールを使用しています。この玄関ホールはいつも私が動画の編集やこのHPの記事作成作業している部屋であり、リビングと猫部屋への扉があります。
その玄関ホールに大人猫ならケージ、子猫ならサークル状のソフトケージを使い隔離しています。
ほとんどの感染症が、排泄物やよだれ、血液からの感染なのでケージに近づけず、お世話した後の手指の消毒をきっちりやれば、大抵は大丈夫だと思います。
ですが、最初に書いたように、パルボウィルスはアルコール消毒や石鹸での洗浄程度では不活化しません。その上、条件次第では環境中に1年ほど感染力を持って存在することができます。
ころも、ライのお世話をした後、私の手はパルボウィルスにまみれていたことでしょう。それが玄関ホールに落ち、足の裏に付き、保護猫部屋やリビングに持ち込んでしまっているのは確実です。
普段しているアルコール消毒はパルボに対しては意味がなく、手洗いは流されることによる減少はあってもすべてが落ちるわけではない。
現実的に考えて、現在ねころび荘全体が汚染されていると言えます。
ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素によって消毒できるので、数カ月はそれらを使いねころび荘全体を消毒をして回る日々になりそうです。その間の猫の新規預かりは難しそうです。
もし、室内にパルボウィルスが残っていて、それが新しく来た猫に感染すれば、猫の命はもちろん、また数カ月保護活動ができなくなります。
考えたくはありませんが、そうなればもうねころび荘の存続は難しいでしょう。
保護した猫がどのような病気を持っているかはわかりません。他の猫を危険に晒した今回の件については深く反省しています。
今回のことを教訓に、今後の猫の管理体制の再考や普段使う消毒薬の選定など、また新たに猫を預かれるようになる日までに進めていこうと思います。
まだまだ拙く、失敗の多いねころび荘ですが、何事にも対応できるように勉強していきますので、これからも応援していただけると嬉しいです。
ねころび荘管理人 石川
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