行政による犬猫の引き取りと殺処分

保護団体と行政は協力関係でありたいねって話

引き取りと処分の状況

行政、保健所と言えば殺処分をイメージしてしまう人も少なからずいる。
年々減少してはいるが、実際に殺処分は行われており、環境省の統計資料によると平成31年4月1日から令和2年3月31日の一年間で、犬猫合わせて85,897匹の引き取りがあり、そのうち32,743匹が殺処分されている。

引き取りの内訳

資料を見てみると、飼い主からの引き取りが約15,000匹、飼い主不明が約70,000匹となっている。
そのうち返還された数が約11,000匹、譲渡された数が約42,000匹となっており、譲渡に関しては保護団体への譲渡を含むと思われる。

処分の分類

殺処分になるケースには3つのパターンがある。
①譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
② 愛玩動物、伴侶動物として家庭で飼養できる動物の殺処分
③引取り後の死亡
(出典:動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類)

①のケースは事故や病気により、治らない傷病を受けた動物の苦痛を取り除くための安楽死を含むと思われる。動物福祉先進国と呼ばれる国でも、苦痛を取り除くための安楽死は行われている。
日本での殺処分の方法としては、少数なら注射や経口薬の投与、多数ならば炭酸ガスが用いられる(出典:環境省 犬猫の引き取りや殺処分等)。
ちなみに、炭酸ガスでの殺処分について苦痛があるかなどはこちらで詳細に書かれている。

③は行政が引き取った後、譲渡や殺処分以前になくなった動物。

②が保護団体が積極的に関与できる部分で、保護団体全体のキャパシティーが大きくなればなるほど、②での殺処分を減らせることになる。

行政も努力している

全国の犬猫の引き取り件数は減少している。
行政が犬猫販売業者からの引き取りを断り、また飼育者からの安易な引き取りもしなくなったこと。責任ある飼育、終生飼養を愛護団体と共に啓発した結果でもある。

譲渡数が増えたことに関しては、保護団体との連携がよくなり、なおかつインターネットによる里親募集などの手段が増えたことが寄与していると考えられる。
これは行政というよりも保護団体の努力の賜物だろうと思う。

社会全体が殺処分を是としない空気が醸成された結果、処分数は急減している。
愛護団体や個人が発信した気持ちが集まり、行政に届いた結果ともいえる。

ただし、引き取りを断った後にその犬猫がどうなるかは心配だし、引き取り数や処分数を減らすために引き取らないということになるとわけのわからない話になる。

動物愛護管理基金の取組みにあるように、譲渡の促進や所有者のいない動物を減らす取り組みもしている。

管理人の私見

行政も殺処分をしたくしているわけではない。
年間86,000匹近くの犬猫を引き取らざるを得ない状況こそ、どうにかしないといけないのであって、それには愛護・保護団体と行政の連携が不可欠で、さらに沢山の個人の後押しを必要としている。

保護団体の中には、やたらと行政を敵視するところもあるが行き過ぎた批判は進展よりも停滞を生む可能性もある。
とはいえ、十分かと言えばそうではないので、年に何度かある意見交換会で、求めることは求めていきたい。

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